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『ワイン・ウォーズ』 ネットでの評判

http://schneisen.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/oliviertorres-7.html

(↑書評がありました。しっかり読んで下さり、感激です。)

ワイン・ウォーズ:モンダヴィ事件(Olivier Torres/亀井 克之訳:関西大学出版)

Winewarsj

「マクドナルド化するワイン」という刺激的な章立てで始まり、以下のような引用(アクセスの時代:ジェレミー・リフキン)私たちの日々の暮らしは,習慣やライフスタイルまでを瀕死に追いやるマーケテイングのプロの手に委ねられている自分の生活に自由にアクセスされてしまう世界では,人間関係や文化など意味をなさなくなるのではないのだろうか?

国立ワイン異業種交換事務所のジャン・フラオンソワ・ゴーティエ氏のスタンダード化という方策によって、ブドウは機械で収穫されるのが普通になり、ほとんどブドウのクローンだけを使用するようになり、現在の「くずワイン」の流行を生み出した。ワイン生産のグローバル化はワインを平凡にすることだ。「退屈は日々を単調にする」と、詩人なら言う。しかし、生産者なら自分たちのワインのオリジナリティを保つこと、そして適切な法的方法でそれを守ること可能だという希望を持つべきだ。

言葉と同時に、「反アメリカ的考えに基づいたスタンダード化への危惧は別に目新しいものではない。これはフランス社会に深く根付いているものである。」と記述し米仏対立をグローバルと地域で説明しようとするように見える。

続いてモンダヴィ家の歴史が紹介される。

ここでロバート・モンダヴィとロートシルト家の合作がOpus Oneとはこの本を手にするまで知らなかった事実に遭遇。

そして、株式公開に至る部分も面白く読める。

モンダヴィの海外展開事業が海外との合弁であること、海外比率がすくないことなど新たな情報も。

続く章は「ングドック地方,最大のブドウ栽培地:神の領地」というものだ。これを読むまではガリア戦記のガリアがこの地方であり、ワインの有名な地域であることなぞ思いもよらなかった。

ここではラングドックにおけるワイの歴史と衰退の経緯。ワイン醸造から産業革命を機に工業的手法でのブドウ生産と安物ワインお大量生産で衰退する過程が述べられ、こでも工業的な手法に対する批判が垣間見られる。

不名誉なワイン製造業となったラングドックからワイン醸造業者への転換への道は遠く。
以下本文にあるように組合は設けられたものの、ワイン醸造家へとは変身できないままであった。

『20世紀初頭に設けられたカーヴコーペラティヴ(ワイン醸造販売協同組合)の創設があるが、。その目的は.療適業者の要求により良く応えるためと,ワイン生産技術を近代化するために必要な巨額の投資を分担することにあった。

家族主義経営の零細ブドウ栽培者で,全体として地域の生産量の4分の3を占めた。そこでは,味と品質が均一化された赤か白のテーブル・ワインというただ一種類のワインが製造された。こうして・ワイン生産者は,もはや自らのワインを管理する力を持たなくなった20世紀初頭のラングドック地方における中心的な役割を担ったのはブドウ栽培乱つまりワインの生産よりも収穫量に関心を寄せている単純なブドウの供給者であった。彼らの報酬は,協同組合に供給するブドウの量に直接比例していた。』

こうしたブドウ生産者や地域特性を持たないテーブルワインは欧州統合によるスペインやイタリアからのワイン市場参入によって危機に陥る。ここからヴァン・ドゥ・ペイや品種表示のワインが生まれるようになる。

その中の一人にエメ・ギベールがおり、彼が後にアニーヌ村へのモンダヴィ進出の反対の先導に立つ。彼の一族は皮革産業を生業としていたが航空機交渉の結果韓国に開放された皮革産業でグローバル化で家業を失った経験からグローバル企業の参入に反対という背景もあったようだ。

然しながら、後半での検証は単に彼の利己主義的な論理であったらしいことが明らかにされる。

モンダヴィの進出は交渉にあたった村長のコミュニケーション能力と不手際に起因し、彼が選挙に敗れることで幕となった。

この辺の経緯としてNIMBY「Not in my back yard」という言葉が目を引いた。

同時に報道機関の近接性、情報量の偏りということが反対派を盛り上げる結果となったことやフランス人とアメリカ人の考え方の相違など複雑な事情が絡み合って実現しなかったことなどが述べられている。

然しながら無制限に自然を破壊し続けることに何の反省も無い官僚、政治家、企業家に対してはフランス人の保守性を我々が強く持つことの大切さを教えているような気もする。

出版が関西大学ということもあり、少し毛色の変わった本だがワイン好きの人には一読の価値あり。

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